条文
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結してはならない。
解説
第一項
資本主義社会の初期においては、長期の労働契約を結ぶことで、労働者が辞めたくても辞められないようにしていた。
この人身拘束の弊害を排除するため、契約期間は原則1年までとした。
しかし、資本主義社会が成熟するにつれ、辞めたくないのに辞めさせられる弊害が生じ、契約期間の上限が引き上げられた。
平成十五年の法改正により、現在では原則として3年までとされている。
これを超えて契約をした場合、本条違反について使用者に対してのみ罰則が適用され、労働契約の期間は第13条により、3年(又は5年)に短縮される。
見習期間も契約期間に含まれ、見習期間と通算して3年を超える契約を締結することは本条違反である。
「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」として、建設工事など、有機的事業の場合には、完了までの期間に対し労働契約を締結することができる。
他の例外として、都道府県労働局長の許可を受けた使用者が行う、認定職業訓練受講生との契約期間は、職業能力開発促進法施行規則に定める訓練機関の範囲内で定めることができる。
第一項第一号
高度の専門的能力を有する労働者が、その能力を十分に発揮するための環境整備に寄与することを目的に、契約期間の上限を5年と定めている。
「厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者」とは、
- 博士の学位を有する者
- 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士又は弁理士の四角を有する者
- ITストラテジスト試験、システムアナリスト試験又はアクチュアリーに関する資格試験に合格した者
- システムエンジニアやデザイナーの業務に就こうとする者(一定年数以上の従事経験を有する者に限る。)
上記のいずれかに加え、労働契約の期間中に支払われることが確実に見込まれる賃金の額が年間換算で1075万円を下回らないものを指す。
第一項第二号
高年齢者がその経験や能力を活かせる雇用の場を確保する等の見地から、契約期間の上限を5年と定めている。
第二項
有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準にて、基準が定められている。