条文
(労働条件の明示)
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
解説
第一項
使用者は、労働者に対して、明示する労働条件を事実と異なるものとしてはならない。
明示事項には、必ず明示する絶対的明示事項と、会社に定めがある場合に明示する相対的明示事項がある。
派遣労働者については、派遣元の使用者が、労働条件について明示しなければならない。
「厚生労働省令で定める方法により明示」とは、絶対的明示事項のうち、昇給を除く事項の明示については、口頭では足りず、書面の交付を要する。
当該労働者が、ファクシミリを利用してする送信の方法、または、電子メール等の送信の方法(当該電子メール等の記録を出力することで書面を作成することができるものに限る)を希望した場合、書面の代わりに当該方法とすることができる。
第二項
他の労働者の労働条件が事実と相違していても、即時解除はできない。
第三項
帰郷旅費には、親族の保護を受ける場合、その者の住所までの実費も含まれ、労働者本人のみならず、就業のため移転した家族の旅費も含まれる。