『はじめての法律学 -- HとJの物語 第6版』
基本情報
書名 | はじめての法律学 -- HとJの物語 第6版 |
著者 | 松井 茂記
松宮 孝明 曽野 裕夫 |
発売日 | 2020/3/30 |
言語 | 日本語 |
出版社 | 有斐閣 |
レーベル | 有斐閣アルマ |
判型 | 四六判 |
ページ数 | 286ページ |
寸法 | 13 x 1.3 x 19 cm |
NDC分類 | 321 |
ISBN-10 | 464122160X |
ISBN-13 | 978-4641221604 |
内容
HがJを車で轢いてしまった事件を題材に、憲法・民事法・刑事法について解説する。
episode1は事故を起こしたHを中心に刑法・刑事訴訟法を、episode2は被害者Jの母親を中心に民法・民事訴訟法を、episode3は植物状態になったJを中心に憲法を学ぶ。
交通事故と離れた内容はColumnやFocusに、法律学を学ぶために必要な情報は巻末のHelpにまとめられている。
目次
- episode1 一瞬のできごと
- 第1章 なぜ罪を犯すと処罰されなければならないのかー刑法の基礎
- 1 「犯罪」は処罰されなければならないか?
- 2 刑罰の意味
- Column① 死刑
- 3 罪刑法定主義という大原則
- 4 犯罪の構造
- Column② 「危険運転致死傷罪」
- Column③ 脳死と人の死
- Focus① 刑罰を受けない人々
- Break① 法とは何か
- 第2章 罪を犯したHの裁判ー刑事訴訟法の基礎
- 1 刑事裁判の進め方
- 2 捜査ーまず証拠を集める
- Column④ 国選弁護人制度
- 3 公訴と公判準備ー裁判の前にしなければならないこと
- Column⑤ 証拠開示
- 4 公判手続ーいよいよ裁判が始まる
- Column⑥ 裁判員の参加する裁判
- 5 裁判は1回限りではないー上訴と再審
- 6 略式手続と少年手続
- Column⑦ 即決裁判手続
- Focus② 刑務所と少年院
- Break② 法の歴史
- episode2 許せない
- 第3章 事故を起こしたHの民事責任ー民法 不法行為法の基礎
- 1 私人間の紛争解決
- 2 不法行為制度と保険
- 3 加害者に責任を負わせるのをどう正当化するか
- Column⑧ 名誉・プライバシー
- 4 被害者は何を請求できるかー人身損害の賠償を中心に
- Focus③ 民事裁判手続
- Break③ さまざまな法律の分類
- 第4章 病院と旅行会社の責任ー民法 契約法の基礎
- 1 私的自治という大原則①-契約は守らなければならない
- 2 私的自治という大原則②-契約の自由
- 3 私的自治の尽きるところ①ー保護される人々
- Column⑨ 高度社会と成年後見制度
- 4 私的自治の尽きるところ②-契約自由の制限
- Column⑩ 製造物責任
- 5 契約は当事者だけを拘束する
- 6 債務不履行を救済する
- Break④ 法と道徳
- 第5章 Jと家族の物語ー民法 家族法の基礎
- 1 親であるということ、家族であるということ
- Column⑪ 老親扶養と介護保険
- 2 親って誰?-血縁だけでない、法的な親子関係
- 3 結婚ということ
- Column⑫ 夫婦別姓
- 4 別れの美学ー離婚ということ
- Break⑤ 法の解釈
- episode3 さいごの願い
- 第6章 法を決めるのは誰かー憲法 統治機構の基礎
- 1 どうして勝手にさせてもらえないのか
- 2 法律はどのように制定されるのか
- 3 法律はどのように執行されるのか
- 4 最終的に決めるのは国民
- Column⑬ もしJが外国人だったら
- Column⑭ 国民投票の可能性
- Column⑮ 憲法改正
- Focus④ 司法審査
- Break⑥ 裁判の特質
- 第7章 多数者でも侵害することのできない権利ー憲法 基本的人権の基礎
- 1 「基本的人権」という考え方
- Column⑯ 子どもの人権
- 2 どのような権利が基本的人権か
- 3 Jに死ぬ権利はあるのか
- 4 基本的人権であっても制約は受ける
- Column⑰ 安楽死の権利
- Focus⑤ 憲法上明文で保障されている諸権利
- Break⑦ 法律家
- epilogue
書評
交通事故を題材に、刑事法・民事法・憲法と話が広がっていく。
解説を読めば、身近な事件もこれだけ様々な法が関係していることに驚くことだろう。
Helpでは憲法、民法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法の基本書ほか、法学の学び方、判例の調べ方など、初学者に寄り添った本である。
具体的な事件をベースに解説するため、他の入門書とは異なった視点で法学が語られる。
はじめて法学を学ぶ人より、2冊目に読むほうが味わい深く読めるのではないだろうか。