『嫌いにならない法学入門』
基本情報
書名 | 嫌いにならない法学入門 |
著者 | 村中 洋介
川島 翔 奥 忠憲 前田 太朗 竹村 壮太郎 色川 豪一 山科 麻衣 岡﨑 頌平 宮下 摩維子 若生 直志 金﨑 剛志 |
発売日 | 2021/9/30 |
言語 | 日本語 |
出版社 | 信山社 |
判型 | A5変 |
ページ数 | 200ページ |
寸法 | 15.1 x 1 x 21.3 cm |
NDC分類 | 321 |
ISBN-10 | 4797286296 |
ISBN-13 | 978-4797286298 |
内容
憲法と民法を中心に、法学の基本を解説した実定法の入門書。
法学の基礎から始まり、憲法、民法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法と広く紹介する。
第1章を川島翔、第2章を村中洋介、第3章と第4章を奥忠憲、第5章を前田太朗、第6章を竹村壮太郎、第7章を色川豪一、第8章を山科麻衣、第9章を宮下摩維子、第10章を岡﨑頌平、第11章を若生直志、第12章を金﨑剛志が担当する。
目次
- はしがき
- 第1章 法学の基礎
- Ⅰ 法の性質
- 1 社会規範としての法
- 2 法と道徳
- 3 「法は道徳の最小限」
- コラム1 「非法の役割」
- Ⅱ 法の存在形式(法源)
- 1 法源とは
- 2 制定法(成文法)
- 3 不 文 法
- コラム2 「裁判による法創造」
- Ⅲ 法の分類
- 1 現代の法学
- 2 公法と私法
- 3 実体法と手続法
- 4 民事法と刑事法
- コラム3 「公法・私法概念の流動性」
- 第2章 憲法(統治)
- Ⅰ 三権分立
- 1 三権分立とは
- 2 国会
- 3 内閣
- 4 裁判所
- Ⅱ 地方は誰のもの?
- 1 地域主権? 地方分権? 地方自治?
- 2 憲法上の地方公共団体とは?
- 3 憲法上の地方自治の保障と地方自治の役割
- 4 条例制定権
- Ⅲ 憲法はなぜ存在するのだろう
- 1 憲法の意義
- 2 日本における憲法の歴史
- Ⅳ 重要判例紹介
- コラム4 「解散権は誰のもの?」
- 第3章 憲法(人権1)
- Ⅰ 人権とは何か
- 1 人権の種類
- 2 人権の制約
- 3 人権保障の範囲
- Ⅱ 幸福追求権と平等権
- 1 幸福追求権
- 2 平 等 権
- Ⅲ 精神的自由権
- 1 思想・良心の自由
- 2 信教の自由・政教分離
- 3 表現の自由
- 4 集会の自由・結社の自由
- 5 学問の自由
- Ⅳ 重要判例紹介
- コラム5 「AI 技術のもたらす人権保障への影響」
- 第4章 憲法(人権2)
- Ⅰ 経済的自由権
- 1 職業選択の自由
- 2 財 産 権
- Ⅱ 社 会 権
- 1 生 存 権
- 2 教育を受ける権利
- 3 勤労の権利・労働基本権
- Ⅲ 参 政 権
- 1 選 挙 権
- 2 選挙制度
- Ⅳ 重要判例紹介
- コラム6「参議院議員の選挙制度について」
- 第5章 民法(総則)
- Ⅰ 民法とは,民法の体系とは
- Ⅱ 総則の構造
- 1 権利の主体
- 2 権利の客体
- 3 権利の変動―意思による変動と時の経過による変動
- Ⅲ 重要判例紹介
- コラム7 「民法の基本原則」
- コラム8 「無効または取消しうる法律関係に基づいて法律上の利害関係を有するだい三社が登場した場合の問題」
- 第6章 民法(物権法・債権法)
- Ⅰ 物 権 法
- 1 物権とは
- 2 所有権とは
- 3 所有権の取得
- 4 公示の原則
- 5 公信の原則?
- Ⅱ 債 権 法
- 1 債権とは
- 2 売買契約とは
- 3 債務不履行が起きたなら
- 4 債権の担保
- 5 売買契約以外の債権発生原因
- Ⅲ 重要判例紹介
- コラム9 「土地所有者不明問題」
- 第7章 民法(家族法)
- Ⅰ 離婚の成立
- 1 離婚の種類
- 2 有責配偶者からの離婚請求は認められるか
- Ⅱ 子どもに関する効果
- 1 離婚と子ども
- 2 親権者の決定
- 3 面会交流
- 4 養 育 費
- Ⅲ 家族法の特徴
- Ⅳ 重要判例紹介
- コラム10 「家庭裁判所」
- 第8章 刑法
- Ⅰ 総論
- 1 犯罪と刑罰
- 2 構成要件
- 3 客観的構成要件
- 4 主観的構成要件
- 5 違法性阻却事由・責任阻却事由
- コラム11 「客観面をみればわかる?」
- Ⅱ 各論
- 1 生命・身体に対する罪
- 2 財産に対する罪
- 3 社会法益に対する罪
- 4 国家法益に対する罪
- Ⅲ 重要判例紹介
- 第9章 民事裁判制度:民事の紛争解決
- Ⅰ 民事裁判制度の意義
- Ⅱ 訴訟の流れ
- Ⅲ 管轄と審級
- Ⅳ 民事訴訟における原則―弁論主義―
- Ⅴ 強制執行手続
- Ⅵ 様々な民事紛争解決制度
- 1 少額訴訟
- 2 支払督促
- 3 即決和解
- 4 ADR
- コラム12 「倒産ってなんだろう?」
- コラム13 「これからの民事訴訟法制」
- 第10章 刑事訴訟法
- Ⅰ 刑事手続の流れ
- Ⅱ 捜査を規律する諸原則
- 1 任意捜査の原則
- 2 令状主義
- Ⅲ 公判の諸原則
- 1 当事者主義
- 2 公判中心主義
- Ⅳ 重要判例紹介
- コラム14 「検察審査会って何?」
- 第11章 行政法(総論)
- Ⅰ 行政法の基礎
- 1 行政法とは
- 2 「犬も歩けば行政法に当たる」
- 3 行政法の法源
- 4 法律による行政の原理
- Ⅱ 行政組織
- 1 行政主体と行政機関
- 2 行政庁と補助機関
- Ⅲ 行政作用
- 1 行政行為
- 2 行政立法
- 3 行政指導
- Ⅳ 行政手続
- 1 行政行為に関する行政手続
- 2 行政立法に関する行政手続
- 3 行政指導に関する行政手続
- Ⅳ 重要判例紹介
- コラム15 「改めて,『行政』とは?」
- 第12章 行政法(救済法)
- Ⅰ 概要
- Ⅱ 国家補償
- 1 国家賠償
- 2 損失補償
- Ⅲ 行政争訟
- 1 行政不服審査
- 2 行政事件訴訟
- Ⅳ 重要判例紹介
- コラム16 「国家賠償と取消訴訟の関係」
- 索 引
書評
法学について広く浅く解説されており、章ごとに多少のばらつきはあれど、全体としてまとまっている。
六法(商法はないが)と行政法を広く浅く解説する本は意外と少ないため、一定の需要はあるのではないか。
章末に重要判例と簡単な解説がまとめており、今後の学習に役立つだろう。
しかし、次の学習指針となる参考文献が、刑法と刑事訴訟法にしか掲載されていなかったのは残念だ。
これから六法を学ぼうという人が、手始めに一通り各法の特徴をつかむのに適している。
参考文献
書籍内で記載のあった本についてまとめる。
また、一意に定まらない本は購入しやすいものを、改定がされている本は最も新しいものに変えた。
- 前田雅英 (2019) 『刑法総論講義』 [第7版] 東京大学出版会
- 前田雅英 (2020) 『刑法各論講義』 [第7版] 東京大学出版会
- 木村光江 (2018) 『刑法』 [第4版] 東京大学出版会
- 前田雅英 (2022) 『刑事法の要点』 [第2版] 東京法令出版
- 前田雅英・星周一郎 (2020) 『最新重要判例250[刑法]』 [第12版] 弘文堂